史跡梅之木遺跡公園は、実験考古学の場としても活用しています。
実験考古学は、発掘調査や出土品の観察だけでは分からないことを、実際に実験し、追体験して検討する方法です。
史跡公園内でできることと、できないことがありますが、実験考古学をやってみたいという方は、まずは、お問い合わせください。
問い合わせ先:北杜市埋蔵文化財センター 0551-25-2019
実験考古学の参考例
くぼみのある石器は、クルミ割りに使ったのか?
実験の動機
北杜市上原遺跡で縄文時代中期末葉のくぼみのある石器が多数出土しました。まるでジャガイモのような不整形の自然礫の一面にぽっかりとくぼみがあります。このくぼみは、クルミの硬い殻を割ってできたのではないか? という仮説を確かめるために実験しました。
実験方法
石器と同質の軟質安山岩の自然礫を遺跡内で拾ってきました。ひとつは手に持って振り下ろし、クルミ殻をたたくハンマーとして使用し、ひとつは地面に置いて台石にしました。
実験結果
写真はクルミを300個割った時点で撮影したふたつの石器です。
意外なことに、ハンマーにした石は、ほとんどくぼみができず、浅い敲打痕が広い範囲に生じただけでした。
台石に使った石は、直径2㎝、深さ1㎝くらいの大きなくぼみができました。同じ実験を別の石でも行いましたが、結果は同じでした。
以上の実験から、上原遺跡で出土したくぼみのある石器は、ハンマーではなく、たとえ不整形であっても台石として使用された可能性が高いと考えられました。