渋田遺跡
1.所在地:北杜市長坂町大八田地内
2.調査期間:第1次 令和2年4月~5月(調査面積約250㎡)
第2次 令和4年4月~6月(調査面積約300㎡)
3.調査概要:
渋田遺跡(しぶたいせき)は、八ヶ岳南麓のほぼ中央、泉川と甲川に挟まれた細長い台地上に立地し、調査対象地は南西向きの緩傾斜地にあたります。
令和2年度(第1次)と令和4年度(第2次)に、個人住宅建設とそれに伴う造成工事によって、遺跡が壊されてしまう可能性がある範囲を対象に発掘調査を実施しました。
1)発見された遺構
第1次調査(令和2年度)
第1次調査では、中世のものと考えられる竪穴状遺構1基、土坑30基以上と500基を超える多量のピットが発見されました。
第2次調査(令和4年度)
第2次調査は第1次調査地点の北側隣接地にあたります。調査工程の都合上、東西2つの区画に分けて調査しました(図3・4)。
調査の結果、中世のものと考えられる竪穴状遺構5基、土坑40基、ピット532基、溝状遺構6条、地下式坑1基を発見しました。
第1・2次調査で発見された膨大な数のピットは、中世の掘立柱建物の柱穴と考えられ、頻繁に建て替えが行われた痕跡と想定されます。
膨大な数のピットとともに、竪穴状遺構(図5・6)が発見されました。
4号竪穴状遺構の床下には地下式坑と呼ばれる地下室も存在していました。これらが同時期に利用されていたのか、別々の時期に偶然重複して造られたのか、明確に判断することはできませんでした。
第2調査地点に隣接する北側の畑では、平成3年に古銭が3,000枚出土しています。こうした、これまでの調査結果から、調査区周辺には中世の集落が広がっている可能性が高く、その痕跡が密度濃く残っていると考えられます。今後、新たな発見が期待されます。